まず、もっともリビドーとデストルドーの両面に触れているのが『タタリ神』の存在でしょう。
生きながらに攻撃を受け、強い怨念を宿したまま死を迎えることで生まれる存在。まさしく生と死の両面を反映している描写です。そして、アシタカに与えた超人的殺傷能力は強いデストルドーを感じさせますね。
この作品で最も大きな意味を成しているのが『シシ神』の存在でしょう。命を吸い取るといわれるシシ神の触れた植物は、瞬く間に成長をとげ、急激に枯れてしまいます。生の果てには死が待っており、強いリビドーはすなわち、デストルドーと表裏一体といったところでしょうか。
終盤、首をはねられたシシ神がダイダラボッチとなり、その液体のようなものに触れたものはすべて命を奪われていきました。しかし、騒動が沈静した時には森は新たな生命にあふれ、本来の姿を取り戻していました。また、突風を受けた後には、タタラ場にいたハンセン病患者や、けが人たちも病が治癒している描写があります。
これが生命の循環そのものですね。生の果てには死があると書きましたが、その先には新たな生が待っているのですね。
ところで、この『ダイダラボッチ』というのは、日本古来から山や湖を想像した巨人の神様として伝承されています。この作品の中でもピッタリな表現ですね。
最後はまとめを書いていきます!
中村テツヤ
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